
『ぼくは青空になった ~ Heavenly Blue 天上の青 ~』 (作:dearest 絵:hoho)
この度、真矢をモデルとした絵本が完成しました。
この絵本のストーリーを書いてくださったdearest さんは、私・宏明が幼少期より姉のように慕っている、知り合いの女性です。
dearestさんは、真矢の死を知らされた時の衝撃を、いまでも鮮明に覚えているそうです。
『真矢が同級生達にいじめられて自ら命を絶った』
真矢はdearest さんとも幼少期に、何度か面識がありました。
dearestさんは、悲嘆にくれる私たち両親の姿を見て、どのような言葉をかけていいか分からず、当時は当たり障りのないお悔やみの言葉をかけることしかできなかったといいます。
真矢の死から長い年月を経た今年の6月、dearest さんと私たち夫婦は再会する機会に恵まれ、ずっと真矢の魂の平安を祈っていたこと。そして何の心の支えにもなれなかったことを私たちに、泣きながらお詫びしてくださいました。
それを期に、私たちと再び交流が始まるにつれてdearest さんは、真矢の死後、私たちがつねに『なぜ自死するほど思い詰めた息子の苦しみに、気づいてやれなかったんだろう?』と自分達を責めたり、『息子は私達に何を残し、何を託したかったのだろう?』などと、答える者のいない問いかけを繰り返していることを知りました。私たちもいじめによる被害者なのだと、痛感したそうです。
“ご両親も癒されなければいけない”とdearest さんは思い、そして『死者が生者に語りかけ、慰める』というストーリーを考えました。
『亡くなった少年が、自分が受けたいじめの辛さや理不尽さを、ありのまま語る。物語の最後に、空になった少年が、自分の遺志を継いで、いじめを無くすための活動をしながら、自分をずっと愛してくれている大切な両親に「ありがとう」と感謝の想いを伝える』
このような構想を抱いたdearestさんは、真矢と私たち両親のために『いじめをなくすためのアクションを起こす本』を作ろうと思ったそうです。
私たち夫婦と真矢を、身近でずっと支えてくれたdearestさんからの申し出だったからこそ、私は二つ返事でお受けする事にしました。
息子が何を望み、どう生きたかったのか。そして自らの命を賭して何を訴えたかったのか。
見上げた高い青空から、全ての人に語りかけてくれるような、そんな気がする絵本です。
最後になりますが、dearestさんの想いを汲み取り、丁寧にそして優しく、美しい絵で真矢を表現してくださったhohoさんには感謝しかありません。
この場を借りてお礼申し上げます。
篠原宏明・真紀
